Studies in the scriptures

Volume 1

Divine Plan of the Ages

 

聖書研究

第1巻

世々にわたる神の計画

 

 

まえがき

1章   喜びの朝終る罪の夜

2章   最高の知的創造者の存在

3章   理性の光に照らしてみた神の啓示としての聖書

4章    神の計画の発達を示す時期と時代

5章     今、神の聖徒に明らかにされた御ことばの奥義

6章     主の再臨――その目的と万物の更新

7章     悪の許しと神の計画との関係

8章     裁きの日

9章     贖いと回復

10章 霊性と人性との凶別

11章 三つの道広い道、狭い道、大路

12章 神の計画を示すチャート

13章 この世の国々

14章 神の王国

15章 エホバの日

16章 結論

引用聖句索引

 

世々にわたる神の計画

 

まえがき

著者および発行者は、本書の発行部数が伸びるに従い、多くの飢え、渇き、さまよえる魂に光、喜び、平和、神との交わりを与えていることを知り、それが私達に許された神の恵みであることを思い、感謝の意を表したい。本書の初版は1886年に発行された。以来、20ケ国語で再版を重ね、現在までには、世界中の人々の手元に約500万部のコピーが届けられている。

それらが全部読まれていることを望むことは出来ないが、絶えず送られて来る手紙は、その本がいたる所で人々の心と思いに力強く働きかけていることを私達に確証してくれる。多くの人々が本書によって力づけられたと書いている。その中には人類への神の啓示としての聖書の真実性を全く疑っていた人もあり、又無神論者かそれに近かった人もある。というのは、彼らが以前には真の神とその真の計画とを知らず、一般に抱かれている信条中に表わされている神の性質を受け入れることも、理解することも、崇拝することも出来なかったからだと語っている。

本書の初版に先だつ約5年間、私達は、本質的には本書と全く同じ内容の書物を他の名称の下に印刷していた。それは 考えるキリスト者のための食物 と題する本であった。その様式は、先ず誤りを攻撃し、それを粉砕してから真理の基盤を打ち立てる、というものであった。しかし、これは最上の方法でないことが分った。というのは、人々が自分自身の誤りが崩壊していくのを見ると警戒心を呼び起こし、その代りに打ち立てられる真理の素晴らしさを把握し得るまで読み進まないからである。

本書は逆の見地から書かれた。先ず真理を提示し、その力と美とを示し、それから、不必要なばかりでなく、絶対的に無用であり非常に有害である誤りを取り除くように促した。こうすれば 世々にわたる神の計画の読者は、各々の段階で信仰を強められ、主にますます近づき、確かに正しい道を歩んでいるという確信を持つであろう。真理を知った後ならば、誤りの不条理、無価値、有害が良く分り、喜んでそれを捨てることが出来るであろう。

ごく少数者のみが、信条づくりの始まったA.D.325年から1260年の間、事実上、聖書研究が全く存在しなかったことを知っている。ごく少数者のみが、その間、信条が何百万人の頭にしっかりたたき込まれ、恐ろしい誤りに縛られ、神の性質である知恵と正義と愛の力から盲目にされていたことを知っている。ごく少数者のみが、宗教改革――聖書が人々の手に戻り始めた――以来、善良な、しかし欺かれ過去の誤りによって盲目にされ不具にされた宗教改革者達が、かわるがわる人々を暗黒の中にとじ込めるために仕えたことを知っている。ごく少数者のみが、使徒の時代の原始教会でなされたような本当の聖書研究は、たった今、聖書研究者の手に戻ってきたばかりであることを知っている。

本書の初版には 千年の夜明け というタイトルが使われたが、そのタイトルは一部の人々に、これが小説であるかのような誤解を招いた。だれも誤解することがないように、又、だれもそのような誤解によってこの書物を買うことがないように、後に現在のタイトル 聖書研究 Studies in the Scriptures)を採用した。これならだれも誤解することは出来ない。

なぜこの書物を本屋で買うことが出来ないのかという多くの質問が寄せられている。答えは、出版社は喜んでこれを扱うであろうが、これの販売を許さないある宗教的熱狂者――脅迫的ボイコット――がいるからである。最初、これは悪魔の力が真理の普及をはばんでいる大災難であるように思えた。しかし、神は恵深くもこの問題を統御され、今日では恐らくいかなる書物も、これほどの着実な発行部数を誇りはしないであろう。偏見によってこれを読むことを拒否し、これに敵対する人々は、偽りを信じ、ゆがめられた真理を信じるが故にそうするのである。

この書物の多くが、それを読んだこともない、ゆがめられた真理に影響を受けた人々によって、火に投じられた。中世暗黒時代の間に起こったことと全く同じことがイエスの従者に関しても言える。聖パウロが鋭く断言しているように、イエスご自身、イエスとイエスの教えを理解しなかった人々の手で苦しめられたのである。 兄弟たちよ、あなたがたは知らずにあのような事をしたのであり、あなたがたの指導者たちとしても同様であったことは、私には分っている。(使徒行伝3:17 もし知っていたなら、栄光の主を十字架につけはしなかったであろう Iコリント28

しかし、本書の敵がいかに苦々しく、不正と不義に満ちていたとしても、本書の友はそれに比例して暖かく熱意に満ちている。人々の手にある何百万部ものコピーは、ほとんど全て真理への愛から、それを広く配布するために時間とエネルギーをさいたこの書物の友の手を通して配られたのである。この文章を書いている間にも約600人のキリスト者が、様々な生活の歩みから、この世的な仕事、使命、野心のすべてを捨てて、この小さな書物を手に主に栄光を帰し、主の飢えている聖徒を祝福しようとしている。その中には、医者、教師、看護婦、牧師、床屋、技師など、神の愛に深く感動し、他の人々にも同じ祝福を分かちあいたいと願うあらゆる分野の人々が含まれている。

この書物は、わずかな価格で売られ、これを持って一般の人々に配布する人々は、必要経費をかろうじて得ることが出来るだけてある。しかし、彼らは時にはたとえ生活が窮乏しても、主のため、真理のため、兄弟のために不便と損失とを苦しむに足るものとされたことを喜ぶのである。その良き業は続けられ、キリストにある命のメッセージは手から手へと渡されている。現在の本書の発行部数は巨大なものである。未来の日々におけるこの祝福が過去のそれと比例して偉大なものとなることを心から願う。著者及び発行者は、それ以上を望むことはできない。

 

主にあってあなたの僕

チャールス・T・ラッセル

ブルックリン、ニューヨーク

1916101

 

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